美食と旅

最近、ちょっと頑張りすぎていたのか、心も体もなんだか疲れてしまって。
そんなとき、「美味しいものと静かな時間があれば、きっと癒されるはず」と
思い立って、久しぶりに京都へ行ってきました。
観光というよりは、心を整えるような、小さなごほうび旅です。
京都駅に着いて、地下鉄で烏丸御池へ。
そこから少し歩いたところにある町家カフェ「喫茶月の花」で、
ゆったりとブランチをいただきました。
築100年ほどの町家を使ったお店で、引き戸を開けると木の香りと
やさしい空気に包まれます。
いただいたのは、季節の野菜を使ったワンプレートと、
自家製のにんじんポタージュ。
どれも素材の味がしっかり感じられて、体にじんわりと染み込んでいくような、
やさしい美味しさでした。
デザートには、ほんのり甘い甘酒プリン。
ほっとひと息、心までとろける時間でした。
食後は、南禅寺の近くをぶらりとお散歩。
新緑がきらきらと光っていて、風が吹くたびに木の葉がさらさらと音を立てて、
まるで自然の中に溶け込んでいくような感覚。
石畳をゆっくり歩いて、時々立ち止まって深呼吸。
何もしない時間が、こんなにも満たされるなんて、自分でも少し驚きでした。
旅の締めくくりに向かったのは、祇園にある「茶寮 宝泉」。
静かなお庭を眺めながら、宇治抹茶と季節の生菓子をいただきました。
今日のお菓子は、春の花をモチーフにした練り切り。
あまりの美しさに、しばらく眺めてしまいました。
一口食べると、抹茶のほろ苦さと、上品な甘さが口の中でふんわりと広がって、
心までふっとほどけていくようでした。
特別なことは何もしていないけれど、美味しいものをゆっくり味わって、
静かな場所で過ごすだけで、気持ちがこんなに軽くなるなんて。
京都で過ごしたやさしい一日が、また明日からの私をそっと支えてくれる
気がしています。